概要
NASAのワロップス飛行施設(Wallops Flight Facility: WFF)は、アメリカ合衆国バージニア州のイースタン・ショア地域に位置する、主要なロケット打ち上げおよび航空宇宙研究施設です。メリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの管轄下にあり、主に観測ロケット(サブオービタルロケット)、科学用気球、無人航空機などの管理や運用を行っています。
近年では、商用ロケットを利用した国際宇宙ステーション(ISS)への補給任務や、小型軌道ロケットの打ち上げ拠点としても重要な役割を担っており、科学研究や新技術の実証において世界中の宇宙探査をサポートしています。
基本データ
- 名称: ワロップス飛行施設 (Wallops Flight Facility)
- 所在地: アメリカ合衆国 バージニア州 アコマック郡(ワロップス島および周辺)
- 設立年: 1945年
- 管轄: NASA ゴダード宇宙飛行センター
- 敷地面積: 約6,200エーカー(約25平方キロメートル)
- 施設構成: 主に「メインベース(Main Base)」「メインランド(Mainland)」「ワロップス島発射場(Wallops Island Launch Site)」の3つのエリアから構成されています。
- 主な機能: 観測ロケット・気球・研究用航空機の運用、ISSへの商業補給船の打ち上げ、航空宇宙科学・技術の開発支援。
地図(航空写真)
歴史
- 1945年: NASAの前身であるNACA(国家航空宇宙諮問委員会)によって、ラングレー研究所の補助基地として設立されました。同年7月4日には、最初の研究用ロケット「ティアマット(Tiamat)」が打ち上げられ、ミサイルや航空機の空力特性を研究するための重要な実験場となりました。
- 1958年〜1959年: NACAがNASAに再編されると独立した施設となり、翌年には旧海軍の航空基地を吸収してメインベースが拡張されました。
- 1960年代初頭: 有人宇宙飛行プロジェクト「マーキュリー計画」の初期において、リトルジョー・ロケットなどを用いた宇宙船カプセルの脱出システムや飛行テストがワロップスで行われ、アメリカの宇宙開発黎明期を支えました。
- 1961年2月: スカウト・ロケットにより、同施設から初めてとなる人工衛星「エクスプローラー9号」が軌道上に打ち上げられました。
- 1981年: メリーランド州のゴダード宇宙飛行センターの一部となり、現在の「ワロップス飛行施設(Wallops Flight Facility)」という名称に変更されました。
- 近年: 2013年には月大気探査機「LADEE」の打ち上げが行われたほか、アンタレスロケットによるシグナス補給船の打ち上げ基地(中部大西洋地域宇宙基地:MARSと連携)として、国際宇宙ステーションへの物資輸送の重要な拠点となっています。設立以来、現在までに16,000回以上のロケット打ち上げ実績を誇ります。
