合(ごう)
英語:Conjunction
合(ごう)とは、天文学において、地球から見て2つの天体が空の同じ方向に見える現象、またはその瞬間の配置を指します。
最も一般的には、太陽系の惑星や月、太陽との位置関係を表すために使われます。
例えば、「木星と月が合になる」という場合、地球から見て木星と月が非常に接近して見えることを意味します。これは、天球上での見かけの位置が近くなるだけであり、実際に宇宙空間で2つの天体が物理的に接近しているわけではありません。あくまで地球からの見かけ上の現象です。
惑星と太陽との「合」は、その惑星の公転軌道が地球より内側か外側かによって、2つの種類(内合・外合)に分けられたり、単に「合」と呼ばれたりします。
- 内惑星(水星・金星)の場合 地球よりも内側(太陽側)を公転する惑星には、太陽との位置関係において2種類の「合」があります。
- 内合(ないごう): 惑星が「地球と太陽の間」に来る瞬間の配置です。地球からは見かけ上、太陽に最も近づきますが、太陽と反対側(夜側)を向けているため観測はできません。
- 外合(がいごう): 惑星が「太陽の向こう側」に来る瞬間の配置です。この時も太陽と同じ方向にあるため、観測は非常に困難です。
- 外惑星(火星・木星・土星など)の場合 地球よりも外側を公転する惑星の場合、惑星が「太陽の向こう側」に来る瞬間の配置のみを「合」と呼びます。(これは内惑星の「外合」と同じ配置です)。この時期、惑星は太陽と同じ方向に見えるため、太陽の眩しさにかき消されて観測できなくなります。
【もっと詳しく】
天文学的な「合」は、より厳密には、観測者(通常は地球)から見た2天体の黄経(こうけい)または赤経(せきけい)が等しくなる瞬間として定義されます。どの座標系(黄経か赤経か)を基準にするかで、合の正確な日時はわずかに異なることがあります。
太陽、地球、そしてもう一つの天体(惑星や月)が(ほぼ)一直線に並ぶ状態を会合(かいごう、Syzygy)と呼びます。「合」はその一種です。(惑星が太陽と反対側に一直線に並ぶ場合は「衝(しょう)」と呼ばれます)。
内惑星(水星、金星)が内合(Inferior Conjunction)にあるとき、地球から見るとその姿は「新月」のように見かけの満ち欠けが最も欠けた状態になります。この内合のタイミングで、惑星の軌道が地球の軌道面と交差する点(昇交点・降交点)付近にある場合、惑星が太陽の円盤の前を横切る「太陽面通過(日面通過)」という稀な現象が観測されます。
外合(Superior Conjunction)の際は、惑星は太陽の向こう側にあるため、地球からは「満月」のように満ちた形(満位相)で見えています(ただし、太陽が眩しいため直接観測はできません)。
特に有名なのが、約20年に一度起こる木星と土星の「合」です。これはグレート・コンジャンクション(Great Conjunction)と呼ばれ、2つの明るい惑星が空で大接近するため、古くから注目されてきました。
■ 関連用語リスト
- 内合(ないごう) (Inferior Conjunction)
- 外合(がいごう) (Superior Conjunction)
- 衝(しょう) (Opposition)
- 天球(てんきゅう) (Celestial sphere)
- 黄経(こうけい) (Ecliptic longitude)
- 赤経(せきけい) (Right ascension)
- 会合(かいごう) (Syzygy)
- グレート・コンジャンクション (Great Conjunction)
- 太陽面通過(たいようめんつうか) (Transit)
- 内惑星(ないわくせい) (Inferior planet)
- 外惑星(がいわくせい) (Superior planet)
