レグルス (Regulus)
レグルスは、しし座で最も明るい1等星であり、全天でも非常に有名な恒星の一つです。「しし座の心臓」とも呼ばれ、春の夜空を代表する星として親しまれています。
この星は、地球から約79光年という比較的近い距離に位置しています。肉眼では一つの明るい青白い星に見えますが、実際には複数の星が互いの周りを回っている多重連星系であることが分かっています。レグルスという名前はラテン語で「小さな王」を意味しており、古くから王者の象徴として崇められてきました。
最大の特徴はその自転速度の速さです。非常に猛烈なスピードで回転しているため、遠心力によって星の形がラグビーボールのように潰れた「扁平(へんぺい)」な形をしていると考えられています。
【もっと詳しく】
レグルス(Regulus / α Leonis)をより専門的な視点で詳しく解説します。
- 多重連星の構成: レグルスは4つの星からなる4重連星系です。主星のレグルスAは、太陽の約3.8倍の質量を持つB型主系列星です。これに極めて近い軌道を回る白色矮星(または中性子星)のペアと、少し離れた場所にあるK型主系列星と赤色矮星のペアで構成されています。
- 極端な扁平率: レグルスAの自転周期は約15.9時間と驚異的な速さです(太陽は約25日)。その自転速度は、星が自身の重力で形を保てる限界の約96%に達しています。このため、赤道半径が極半径よりも30%以上も膨らんでいます。
- 重力減光: 扁平な形をしているため、赤道部分は中心部から遠くなり温度が下がります。その結果、極地方が明るく、赤道付近が暗く見える「重力減光」という現象が顕著に現れます。
- 黄道との位置関係: レグルスは黄道(太陽の通り道)のほぼ真上に位置する唯一の1等星です。そのため、しばしば月や惑星によって隠される「掩蔽(えんぺい)」という現象が起こり、天文学的に重要な観測対象となります。
