ブルーゴースト、月へ飛び立つ!
ファイアフライ・エアロスペース社の月着陸船「ブルーゴースト(Blue Gohst)」の打ち上げが、2025年1月15日に無事成功しました。このミッションは、民間企業による月面探査の更なる一歩として、世界中の注目を集めています。今回はBlue GhostのMission1というフェーズで、今後Mission2、Mission3へと続いていきます。
今回このBlue Ghostはフロリダのケネディ宇宙センターにある39A発射台からスペースX社のファルコン9ロケットにて打ち上げられます。そしてこのロケットには日本の民間宇宙企業ispace社のHAKUTO-Rの月着陸機RESILIENCEも搭載され、世界初の2つの着陸船を載せた打ち上げになります。

打ち上げの詳細
- 日 時: 2025年1月15日 現地時間(EST)午前1:11
- 発射場所: フロリダ州ケネディ宇宙センター
- 打ち上げロケット: SpaceX社のファルコン9
- 着陸予定地: Mare Crisium near Mons Latreille (ラトレイユ山近くの危難の海と呼ばれる場所)
ミッションの目的
今回のミッションでは、以下の目的が掲げられています。
- 月面環境の調査: 月のレゴリス(表土)のサンプル採取や、放射線量の測定など、月面環境の詳細な調査を行います。
- 将来の月面基地建設に向けた技術実証: 通信システムや電力生成システムなどの、将来の月面基地建設に必要な技術の実証を行います。
- 民間企業による月面探査の促進: 民間企業が月面探査を行うための技術やノウハウを蓄積し、将来の商業月面輸送サービスの確立を目指します。
搭載ペイロード
ブルーゴーストには、NASAが開発した様々な科学観測機器が搭載されています。これらの機器により、月面の水の存在や、過去の火山活動の痕跡などを探る予定です。
ブルーゴースト計画が意味すること
ブルーゴースト計画は、以下の点で大きな意義を持ちます。
- 民間企業による宇宙開発の活性化: 民間企業が主体となって月面探査を行うことで、宇宙開発の競争が激化し、新たな技術革新が生まれることが期待されます。
- 国際協力の推進: 複数の国や企業が協力して月面探査を行うことで、国際的な連携が深まります。
- 人類の未来を切り開く: 月面探査を通じて得られた知見は、将来の宇宙探査や、人類の生存圏の拡大に貢献します。
登載された2つの月着陸機の航路
今回冒頭にも述べたように、2機の月着陸船を搭載して打ち上げられましたが、2つの着陸船は別の航路をたどり月面を目指します。
ファイヤーフライ・エアロスペース社は、地球の周回軌道を回り、月の周回軌道へと移行して、3月2日の着陸を目指しています。
日本の民間宇宙企業ispace社のHAKUTO-Rは打ち上げ1か月後に月の引力を利用して深宇宙探査をし、4~5か月後に月面着陸を目指します。
1つのロケットで2つの月着陸機が同時にミッションの成功を収めれば、もちろん世界初、いや宇宙初という事になります。民間宇宙企業の可能性がどんどん広がりを見せ、将来への期待が高まるミッションです。
Mission 1 では月面で様々な実験が行われる
ブルー・ゴースト計画では、月面での調査、探査、月面基地建設に向けた実証のために様々な実験が行われます。そのために、ブルー・ゴースト計画では様々な実験装置がペイロードに搭載されています。
- Lunar Instrumentation for Subsurface Thermal Exploration with Rapidity (LISTER):月面の地下の熱流量を測定する装置。
- Lunar PlanetVac (LPV):月面のレゴリス(砂)を採取する装置。
- Next Generation Lunar Retroreflector (NGLR):地球から月までの距離を測定する装置。
- Regolith Adherence Characterization (RAC):月面の塵がどのように付着するかを調査する装置。
- Radiation Tolerant Computer (RadPC):宇宙放射線に耐えるコンピュータ。
- Electrodynamic Dust Shield (EDS):月面の塵から機器を守る装置。
- Lunar Environment heliospheric X-ray Imager (LEXI):太陽風と地球の磁場の相互作用を調査する装置。
- Lunar Magnetotelluric Sounder (LMS):月の内部構造を調査する装置。
- Lunar GNSS Receiver Experiment (LuGRE):月面でのGPS受信実験を行う装置。
- Stereo CAmera for Lunar Plume-Surface Studies (SCALPSS):月面への着陸時の衝撃を調査する装置。
ブルーゴースト・ミッション1のインパクト
NASAの月面への商用輸送サービスプロジェクトCLSP(Commercial Lunar Payload Services)の1つとして行われているブルーゴーストミッションは、輸送だけでなく多くのミッションを担って着陸を目指しています。このミッションの成功は民間での月面探査に大きなインパクトを与えることになります。