天文単位 (AU:Astronomical Unit )
「天文単位」は、主に太陽系 (Solar System) 内の天体間の距離を表すために使われる「長さの単位」です。宇宙の「ものさし」のようなものだと考えてください。
1天文単位 (1 AU) は、地球 (Earth) と太陽 (Sun) の間の平均距離を基準にしています。 その具体的な距離は、約1億4960万km(約1億5000万km)です。
私たちが日常生活で使う「km(キロメートル)」では、宇宙の距離は数字が大きくなりすぎてしまいます。例えば、太陽から木星までの距離は「約7億7800万km」ですが、これを天文単位で表すと「約5.2 AU」と、とてもシンプルになります。
このように、天文単位を使うことで、地球の軌道を「1」として、他の惑星 (Planet) が太陽からどれくらい離れているのかを、直感的に比較しやすくなります。
【もっと詳しく】
天文単位(AU)は、天文学において非常に基本的な単位ですが、その定義は時代とともにより厳密なものへと変わってきました。
かつては、地球の公転軌道(楕円軌道)の平均的な半径として定義されていましたが、観測技術の向上に伴い、より精密な定義が必要となりました。特に、太陽は太陽風などで絶えず質量を失っており、厳密には重力が変化するため、地球の軌道もごくわずかですが変動します。また、アインシュタインの一般相対性理論 (General theory of relativity) の効果も考慮する必要が出てきました。
そこで、2012年に開催された国際天文学連合 (IAU) の総会で、天文単位の定義が改定されました。 現在の定義では、天文単位は「物理定数」として扱われ、その値は正確に「149,597,870,700 メートル」と定められています。
この値は、過去の観測に基づいた地球と太陽の平均距離に最も近い値として固定されたもので、今後は太陽の質量の変化や相対論的効果によって変動することのない、不変の「長さ」として定義されています。
なお、太陽系の外、恒星間の距離を表す場合は、天文単位ではまだ数字が大きくなりすぎるため、光年 (Light-year) やパーセク (Parsec) といった、さらに大きな単位が用いられます。
■ 関連キーワード
- 太陽系 (Solar System)
- 地球 (Earth)
- 太陽 (Sun)
- 惑星 (Planet)
- 国際天文学連合 (International Astronomical Union – IAU)
- 一般相対性理論 (General theory of relativity)
- 光年 (Light-year)
- パーセク (Parsec)
