施設紹介:Orbital Launch Pad 2 (SpaceX Starbase)
米国民間宇宙企業SpaceX(スペースX)が開発を進める完全再使用型宇宙船「Starship(スターシップ)」および超大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」のための第2軌道打ち上げ施設「Orbital Launch Pad 2 (OLP-2)」をご紹介します。
概要
Orbital Launch Pad 2(OLP-2)は、米国テキサス州南部のボカチカにあるSpaceXの宇宙港「Starbase(スターベース)」内に建設された2番目の軌道打ち上げパッドです。
人類の火星移住や月面探査(アルテミス計画)を見据え、Starshipの打ち上げ頻度を飛躍的に向上させるための重要なインフラとして機能します。巨大な発射塔(通称:Mechazilla)と、打ち上げ時の強烈な熱と衝撃から設備を保護するための水冷式デリュージシステム(Water Deluge System)を備えているのが特徴です。
基本データ
| 項目 | 詳細 |
| 施設名称 | Orbital Launch Pad 2 (OLP-2) |
| 所在地 | 米国テキサス州 キャメロン郡 ボカチカ (Starbase) |
| 運営企業 | SpaceX (Space Exploration Technologies Corp.) |
| 主な用途 | Starship / Super Heavyの軌道打ち上げ、および帰還時のキャッチ |
| 主要設備 | 打ち上げマウント、発射塔(Mechazilla)、チョップスティック(捕獲アーム)、水冷式デリュージシステム |
| 稼働状況 | 建設中・テスト運用段階(2026年現在) |
所在地マップ(航空写真)
歴史と開発の背景
- 2021年〜2023年(OLP-1の運用と課題): Starbaseでの初期の軌道打ち上げテストは、第1軌道打ち上げパッド(OLP-1)で行われました。しかし、Super Heavyの33基のラプターエンジンが引き起こす破壊力は凄まじく、初期の飛行テストでは発射台のコンクリートが粉砕されるなどの被害が発生しました。
- 2023年後半(OLP-2の建設開始): SpaceXは打ち上げ頻度を高める(将来的には1日に複数回の打ち上げを目指す)ため、そして一方のパッドがメンテナンス中であっても打ち上げを継続できるようにするため、OLP-2の建設を本格化させました。
- 2024年〜(急速な組み立て): フロリダ州のケネディ宇宙センター(LC-39A)向けに製造されていたタワーの部材の一部をテキサスに転用するなどして、急ピッチで発射塔(タワー)のモジュールが積み上げられました。同時に、OLP-1で得られた教訓を活かし、厚い鋼鉄のプレートと大量の水を噴射する「水冷式デリュージシステム」が最初から組み込まれました。
施設の詳細と特徴
1. メカジラ (Mechazilla) とチョップスティック
OLP-2には、OLP-1と同様に高さ140メートルを超える巨大な発射塔がそびえ立っています。この塔の最大の特徴は「チョップスティック(お箸)」と呼ばれる巨大なロボットアームを備えている点です。このアームは、ロケットの組み立て(Super Heavyの上にStarshipを積み上げる作業)を行うだけでなく、宇宙から帰還してくる機体を空中で「キャッチ」するという、SF映画のようなミッションを担っています。
2. 強靭な水冷式デリュージシステム
Super Heavyブースターが発する圧倒的な熱と音響エネルギーからパッドを守るため、発射マウントの直下には巨大な鋼鉄製のシャワーヘッドのようなシステムが敷き詰められています。打ち上げの数秒前から大量の水を高圧で噴射し、プラズマ化するほどの熱と衝撃波を吸収・分散させます。
