木星 (もくせい) 英語: Jupiter
太陽系で太陽から5番目の軌道を公転する惑星。太陽系の中で最も大きな惑星であり、その直径は地球の約11倍、質量は地球の約318倍にも達します。
木星は、地球のような固い地面(地殻)を持たず、その大部分が水素とヘリウムといったガスで構成されている「ガス惑星(巨大ガス惑星)」に分類されます。

望遠鏡で観測すると、赤道に平行な濃淡の縞模様(しま模様)が見えます。これは、木星の高速な自転(約10時間で1回転)によって引き起こされる大気の流れです。 また、南半球には「大赤斑(だいせきはん)」と呼ばれる巨大な渦(うず)が観測されています。これは地球が2〜3個入ってしまうほどの大きさを持つ、巨大な高気圧性の嵐であり、少なくとも17世紀から観測され続けています。
木星はまた、「ミニ太陽系」とも呼ばれるほど多くの衛星を持っています。特に有名なのは、1610年にガリレオ・ガリレイが発見した4つの「ガリレオ衛星」(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)です。これらの衛星は、それぞれ火山活動や氷の下の海など、ユニークな特徴を持っています。
その強大な重力は、太陽系初期の惑星形成や、現在の小惑星や彗星の軌道にも大きな影響を与えており、「太陽系の掃除屋」と呼ばれることもあります。
【もっと詳しく】
木星の内部構造は、中心部に岩石や氷からなる高密度の核(コア)があり、その周りを液体金属状態の水素、さらにその外側を分子状の水素やヘリウムの層が覆っていると考えられています。特に、深部では超高圧によって水素が金属のように電気を通す性質(液体金属水素)になっており、これが木星の強力な磁場を生み出す原因とされています。木星の磁場は地球の数千倍から数万倍も強力で、広大な放射線帯(ヴァン・アレン帯)を形成しています。
木星の縞模様は、明るい部分を「帯(ゾーン)」、暗い部分を「縞(ベルト)」と呼びます。帯は上昇気流によって生成されるアンモニアの氷の雲、縞は下降気流によって大気深部の色の濃い雲が透けて見える領域と解釈されています。
衛星については、2023年時点で95個が確認されています。ガリレオ衛星の中でも、イオは太陽系で最も火山活動が活発な天体であり、エウロパは厚い氷の地殻の下に広大な液体の海(内部海)が存在する可能性が極めて高く、生命存在の可能性が注目されています。
木星には土星ほど顕著ではありませんが、塵(ちり)を主成分とする希薄な環(リング)も存在します。
人類による探査も活発で、パイオニア計画、ボイジャー計画、ガリレオ探査機などを経て、現在はNASAの探査機「ジュノー(Juno)」が木星の極軌道を周回し、その内部構造や磁場、大気の詳細な観測を続けています。