核融合 (Fusion)
英語: Fusion (フュージョン)
核融合(かくゆうごう)とは、水素(すいそ)のような軽い原子核同士が、超高温・超高圧の環境下で合体(融合)し、ヘリウムのようなより重い原子核に変わる反応のことです。
この反応の最大の特徴は、反応の前後で原子核の重さの合計がわずかに軽くなることです。この失われた重さ(質量欠損)が、アインシュタインの有名な公式 E=mc^2 に基づき、莫大なエネルギーに変換されて放出されます。
私たちにとって最も身近な核融合は、太陽の中心部で起きています。太陽は、その巨大な重力によって中心部を約1,600万度という超高温・高圧状態に保ち、毎秒膨大な量の水素原子核を核融合させてヘリウムに変えています。この時に生まれるエネルギーによって、太陽は46億年もの間、輝き続けています。
【もっと詳しく】
核融合反応を人工的に起こす(核融合発電)研究も世界中で進められています。「地上の太陽」とも呼ばれ、未来のクリーンエネルギー源として期待されています。
原子核はプラス(+)の電荷を持っているため、通常は「クーロン障壁(斥力)」と呼ばれる反発力によって互いに反発し合います。しかし、1億度を超えるような超高温状態になると、原子核はプラズマ(原子核と電子がバラバラになった状態)となり、クーロン障壁を突き破るほどの猛烈なスピードで運動します。
この状態で原子核同士が衝突すると、反発力よりもはるかに強い「強い核力」が働き、原子核同士が融合します。
地上での核融合発電では、燃料の入手のしやすさから、主に水素の仲間である重水素(Deuterium)と三重水素(Tritium、トリチウム)を用いた「D-T反応」が研究されています。このD-T反応は、太陽の中心部(主にP-Pチェーン反応)よりも低い温度(約1億度)で反応が起きやすいとされています。
この1億度のプラズマを安定して閉じ込める技術が最大の課題であり、ITER(イーター)に代表される磁場を使った「トカマク型」や、強力なレーザーで燃料を圧縮する「レーザー核融合」などの方式が研究されています。
