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ケンタウルス座A (Centaurus A)
ケンタウルス座A(ケンタウルスざA)は、地球からケンタウルス座の方向に約1200万光年離れた場所にある銀河です。カタログ番号NGC 5128としても知られています。地球から比較的近い距離にありながら、非常に活発な活動をしている「活動銀河」の一つとして有名です。
この銀河の最大の特徴は、中心にある超大質量ブラックホールから噴出する強力な「ジェット」です。このジェットが周囲のガスと衝突することで、可視光(目に見える光)では観測できない強力な電波を放射しています。ケンタウルス座Aは、空全体で見ても太陽や月、ごく一部の天体を除けば最も明るい電波源の一つであり、「電波銀河」の代表例とされています。
見た目も非常に特徴的で、望遠鏡で観測すると、滑らかな楕円形をした銀河本体の中心を、濃いガスの帯(ダストレーン)がまっすぐに横切っているように見えます。この奇妙な姿は、ケンタウルス座A(巨大な楕円銀河)が、過去に別の渦巻銀河と合体した名残であると考えられています。横切るダストレーンは、飲み込まれた渦巻銀河の腕であり、現在でもこの領域では新しい星が活発に生まれています。
【もっと詳しく】
ケンタウルス座A (NGC 5128) は、地球に最も近い活動銀河核 (AGN) の一つです。その活動のエネルギー源は、中心に位置する太陽質量の約5500万倍と推定される超大質量ブラックホール (SMBH) です。
このブラックホールに物質が落ち込む際、一部の物質はエネルギーとして解放され、光速に近い速度まで加速されたプラズマの流れ(相対論的ジェット)として、ブラックホールの両極方向に噴出します。このジェットが銀河間空間のガスと衝突し、巨大な電波放射領域(電波ローブ)を形成します。この電波の放射メカニズムは、高エネルギーの電子が磁場の中で曲げられることによって生じるシンクロトロン放射です。「ケンタウルス座A」という名称の「A」は、ケンタウルス座で最初に発見された電波源であることを示しています。
可視光で観測される特徴的なダストレーンは、約1億年前に起こったとされる銀河合体 (Galaxy merger) の証拠とされています。このダストレーン内では、合体の衝撃によってガスが圧縮され、爆発的な星形成(スターバースト)が引き起こされています。ケンタウルス座Aは、電波や可視光だけでなく、X線やガンマ線など、あらゆる波長の電磁波で強力な放射を放つ、天文学的に非常に重要な研究対象です。
関連用語リスト
- 電波銀河 (Radio galaxy)
- 活動銀河核 (Active Galactic Nucleus – AGN)
- 超大質量ブラックホール (Supermassive black hole)
- ジェット (Jet)
- NGC 5128
- 銀河合体 (Galaxy merger)
- シンクロトロン放射 (Synchrotron radiation)
- ダストレーン (Dust lane)
