宇宙飛行士 (Astronaut)
宇宙飛行士(うちゅうひこうし)とは、ロケットで打ち上げられる宇宙船に搭乗し、宇宙空間で様々な任務を遂行する人のことを指します。英語では Astronaut(アストロノート) と呼ばれます。
主な活動場所は、地球を周回する軌道上の国際宇宙ステーション(ISS)や宇宙船の内部ですが、過去には月面に着陸した宇宙飛行士もいます。
宇宙飛行士の仕事は多岐にわたります。宇宙船の操縦やシステムの管理、国際宇宙ステーションの維持・補修作業、宇宙空間の特殊な環境(微小重力など)を利用した科学実験や観測、ロボットアームの操作、そして宇宙服を着て宇宙船の外に出て作業を行う「船外活動(宇宙遊泳)」など、非常に専門的で重要な任務を担います。
宇宙飛行士になるためには、各国の宇宙機関(日本のJAXAやアメリカのNASAなど)が行う厳しい選抜試験に合格し、その後、長期間にわたる過酷な訓練をクリアする必要があります。訓練には、体力トレーニング、宇宙船の操作訓練、無重力状態への適応訓練(水中訓練など)、緊急時のサバイバル訓練などが含まれます。
【もっと詳しく】
「Astronaut」という言葉は、ギリシャ語で「星」を意味する “astron” と、「船乗り」を意味する “nautes” を組み合わせた造語です。
宇宙飛行士の定義や呼称は、国や組織によって異なる場合があります。例えば、ロシア(旧ソ連)では「コスモノート (Cosmonaut)」(ギリシャ語の “kosmos”(宇宙)と “nautes”(船乗り)に由来)、中国では「タイコノート (Taikonaut)」(中国語の「太空(tàikōng)」(宇宙)と “nautes” に由来)と呼ばれます。これらは基本的に同じ「宇宙飛行士」を指す言葉です。
どこからが宇宙かという定義も一律ではなく、国際航空連盟(FAI)は高度100km(カーマン・ライン)以上を宇宙空間と定めていますが、アメリカ空軍などは高度80km(約50マイル)以上を宇宙とみなし、この高度に到達したパイロットを宇宙飛行士として認定しています。
宇宙飛行士の役割も細分化されています。かつてのスペースシャトル計画では、操縦を担当する「パイロット宇宙飛行士」、船外活動やロボットアーム操作、ミッション全般の指揮などを執る「ミッションスペシャリスト(MS)」、特定の搭載機器の操作や実験を担当する専門家である「ペイロードスペシャリスト(PS)」といった区分がありました。
現在の国際宇宙ステーション(ISS)計画では、長期滞在クルーとして、ISSのシステム運用や維持、科学実験などを担当する「フライトエンジニア」としての役割が中心となっています。
キーワード
- 宇宙空間 (Outer Space)
- 国際宇宙ステーション (International Space Station; ISS)
- 宇宙船 (Spacecraft)
- ロケット (Rocket)
- 船外活動 (Extravehicular Activity; EVA)
- 宇宙遊泳 (Spacewalk)
- JAXA (宇宙航空研究開発機構 / Japan Aerospace Exploration Agency)
- NASA (アメリカ航空宇宙局 / National Aeronautics and Space Administration)
- コスモノート (Cosmonaut)
- タイコノート (Taikonaut)
- カーマン・ライン (Kármán line)
