英語: Brown Dwarf
褐色矮星は、恒星と惑星の間に位置する天体です。「恒星になり損ねた星」とも呼ばれ、質量が木星の約13倍から80倍程度とされています。恒星のように自ら光り輝き続けることはありませんが、形成初期の熱やごくわずかな核融合反応によって、赤外線を放っています。
その名の通り褐色に見えるわけではなく、人間の目には赤色やマゼンタ色に見えると考えられています。非常に暗いため、発見されたのは1995年と比較的最近のことです。
【もっと詳しく】
褐色矮星は、恒星が誕生するのと同じように、ガスや塵が集まってできた原始星から生まれます。しかし、その質量が太陽の約8%(木星質量の約80倍)に満たなかったため、中心部での温度と圧力が十分に上がらず、恒星の主エネルギー源である水素の核融合反応を持続的に起こすことができません。
ただし、質量が木星の約13倍以上ある褐色矮星では、中心部で重水素の核融合反応が一時的に起こります。また、質量が木星の約65倍以上になるとリチウムの核融合も起こると考えられています。これらの反応で発生する熱により、褐色矮星は自身の重力で収縮していくエネルギー(ケルビン・ヘルムホルツ機構)と合わせて、長い時間をかけてゆっくりと冷えていきます。
褐色矮星は、その表面温度によってスペクトル型が分類されており、比較的温度の高い方からL型、T型、Y型に分けられます。これらの天体の大気中には、メタンや水蒸気の存在が確認されており、惑星と恒星の進化を研究する上で重要な手がかりを与えてくれます。
惑星との境界は質量で定義されることが多く、一般的に木星質量の13倍がその境界とされていますが、形成過程(恒星のように単独で形成されるか、惑星のように恒星の周りで形成されるか)も議論の対象となっています。