Image Credit : (C)JAXA
種子島宇宙センター 吉信射点LP-2
◆ 基本データ
吉信射点LP-2は、H-IIBロケットの打ち上げのために建設され、現在は日本の新しい主力ロケットH3ロケットの打ち上げに対応するための改修が施されています。
項目 | 詳細 |
場所 | 鹿児島県熊毛郡南種子町 種子島宇宙センター内 |
運用機関 | 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) |
対応ロケット | H-IIBロケット(2009年〜2020年)、H3ロケット(2024年〜) |
主な設備 | ・移動発射台 (Mobile Launcher: ML): ロケットを組み立て、射点まで運ぶための巨大な台座。 ・組立棟 (Vehicle Assembly Building: VAB): 天候に左右されずにロケットの組み立てを行うための建物。 ・総合指令棟 (Block House): 打ち上げの指揮を執る管制室。LP-2から約500m離れた安全な場所に位置します。 ・音響低減放水設備: 打ち上げ時の強烈な音響振動からロケットや衛星を守るため、大量の水を放水する設備。 |
MAP
◆ 歴史:H-IIBからH3へ
吉信射点LP-2の歴史は、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給という重要なミッションと共に始まりました。
H-IIBロケットの時代 (2009-2020)
LP-2は、日本の大型ロケットH-IIAの能力を向上させたH-IIBロケット専用の射点として建設されました。H-IIBの主な任務は、ISSへ補給物資を運ぶ宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の打ち上げでした。

記念すべき最初の打ち上げは、2009年9月11日のH-IIBロケット試験機1号機による「こうのとり」技術実証機の打ち上げです。この成功から、LP-2は輝かしい歴史をスタートさせました。
2020年5月21日の「こうのとり」9号機の打ち上げまで、LP-2は9機全てのH-IIBロケットの打ち上げを成功させました。これは日本の宇宙開発における高い信頼性を示す、まさに金字塔と言えるでしょう。9回にわたるミッションの成功は、ISSの運用に大きく貢献しました。
H3ロケットへの対応
H-IIBロケットの退役後、吉信射点LP-2は次世代の主力ロケットであるH3ロケットに対応するための大規模な改修工事に入りました。H3ロケットは、H-IIBとは機体のサイズや推進薬の種類が異なるため、地上設備もそれに合わせた変更が必要でした。

主な改修点には、新しい移動発射台の導入や、燃料である液体水素と液体酸素を供給する設備の増強などが含まれます。この改修により、LP-2は再び日本の宇宙開発の最前線に立つ準備を整えました。そして、H3ロケットの打ち上げ拠点として、新たな歴史を刻み始めています。