白色矮星 (White Dwarf)
白色矮星は、太陽のような質量の比較的小さな恒星が、その一生の最後に迎える姿です。恒星は中心部で核融合反応を起こすことで輝いていますが、やがて燃料となる水素を使い果たすと、中心核に向かって収縮を始めます。この収縮によって中心部の温度が上昇し、ヘリウムの核融合が始まります。この段階で恒星は赤色巨星と呼ばれる巨大な星に膨れ上がります。
赤色巨星の外層はやがて宇宙空間に放出され、惑星状星雲となって輝きます。そして、中心には核融合反応を終えた高温・高密度の核が残されます。これが白色矮星です。
白色矮星は、地球ほどの大きさに太陽と同程度の質量が詰め込まれている、非常に密度の高い天体です。その密度は、角砂糖1個分で数トンにもなります。形成直後の白色矮星は非常に高温ですが、もはや自らエネルギーを生み出すことはできないため、長い時間をかけてゆっくりと冷えていき、やがては光を放たない黒色矮星になると考えられています。
【もっと詳しく】
白色矮星は、電子の縮退圧によって重力崩壊を防いでいる天体です。通常、物質は原子核とその周りを回る電子から構成されています。しかし、白色矮星のような高密度の環境では、電子は原子核から離れて自由に動き回るようになります。この電子が、量子力学的な効果によって、互いに反発しあう力(縮退圧)を生み出し、星全体がそれ以上収縮するのを防いでいるのです。
白色矮星の質量には上限があり、これを「チャンドラセカール限界」と呼びます。この限界質量(太陽質量の約1.4倍)を超えると、電子の縮退圧では重力を支えきれなくなり、重力崩壊を起こして、Ia型超新星と呼ばれる大爆発を起こすと考えられています。
また、白色矮星は単独で存在する場合だけでなく、他の恒星と連星系をなしている場合もあります。近接連星系では、伴星から白色矮星へとガスが流れ込むことがあり、その際に様々な現象を引き起こします。例えば、流れ込んだガスが白色矮星の表面で核爆発を起こす「新星爆発」や、白色矮星の質量がチャンドラセカール限界に達して起こる「Ia型超新星」などが知られています。