人類が再び月を目指す——その歴史的な瞬間が、目前に迫っています。
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年1月21日、有人月周回ミッション「アルテミスII」に向けた準備が新たな段階に入ったことを発表しました。巨大なSLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットとオリオン宇宙船はすでにフロリダ州ケネディ宇宙センターの発射台39Bに到着しており、打ち上げ前の最終関門となる「ウェット・ドレス・リハーサル(燃料充填試験)」に向けた準備が着々と進められています。
巨大ロケット、発射台に立つ!
1月17日に発射台に到着したSLSロケットに対し、エンジニアたちは直ちに本番さながらのセットアップを開始しました。現在行われている主な作業は以下の通りです。
• システム接続: ロケット内部の状態を維持するためのパージラインの接続や、発射管制センターとの通信確立。
• クルーアクセスアームの稼働テスト: 宇宙飛行士が搭乗するために通る「橋」の動作確認。
• 緊急脱出システムのテスト: 万が一の事態に備え、スライドワイヤーとバスケットを使って脱出するシステムの接続とリリース試験。
すでにオリオン宇宙船やロケットのコアステージ、ブースターへの電源投入も完了しており、巨大な機体は「目覚めた」状態にあります。

70万ガロンの燃料を充填!「ウェット・ドレス・リハーサル」とは?
まもなく実施される「ウェット・ドレス・リハーサル」は、打ち上げ本番を除く最も重要なマイルストーンです。
このテストでは、実際に70万ガロン(約265万リットル)以上もの極低温推進剤をロケットに充填します。そして、打ち上げ秒読み(カウントダウン)を行い、直前で停止するという、本番と全く同じ手順をシミュレーションします。
今回は宇宙飛行士は搭乗せずに行われますが、燃料を安全に抜き取る手順まで含めた、極めて危険かつ重要な実地試験となります。
2月6日、打ち上げウィンドウ解禁なるか?
世界中が注目する打ち上げ日ですが、現在のところ打ち上げウィンドウ(打ち上げ可能な期間)は早ければ2月6日(金)に開くとされています。
しかし、NASAは慎重です。正確な打ち上げ日は、今回のウェット・ドレス・リハーサルの結果と、宇宙船・インフラ・運用チーム全体の飛行準備状況を評価した上で最終決定されます。もし追加作業が必要な場合、ロケットは一度組立棟(VAB)に戻される可能性も残されています。
宇宙へ旅立つ準備は「手荷物」まで完了
ハードウェアのテストと並行して、内部の準備も大詰めを迎えています。
• ブースター整備: 週末には固体ロケットブースターへのヒドラジン(燃料)供給作業が予定されています。
• 最終積み込み: 宇宙飛行士が使用するタブレット端末、医療キット、そして科学実験装置(AVATARなど)といった最終アイテムの積み込みも行われます。
リード・ワイズマン船長、ビクター・グローバー操縦士、クリスティーナ・コック飛行士、そしてジェレミー・ハンセン飛行士(カナダ宇宙庁)の4名を乗せ、月を周回して帰還するこのミッション。
発射台のフェンスには、このミッションを支えるNASA職員や契約業者たちの署名が入ったバナーが掲げられており、チーム一丸となって歴史的瞬間に向かっていることが伝わってきます。
2月の空に人類の夢が舞い上がるのか。ウェット・ドレス・リハーサルの成功に世界が期待を寄せています。
