Rocket Lab Launch Complex 2: アメリカ東海岸の宇宙への玄関口
Rocket Lab Launch Complex 2 (LC-2)は、アメリカ合衆国バージニア州のワロップス飛行施設内に位置する、小型衛星打ち上げに特化したロケット発射施設です。Rocket Lab社によって運用され、同社の主力ロケットであるエレクトロンの打ち上げ拠点として、アメリカの政府機関や商業ミッションに迅速かつ信頼性の高い宇宙へのアクセスを提供しています。
施設の概要と目的
LC-2は、ニュージーランドにある同社の発射場「Launch Complex 1」に次ぐ、2番目の打ち上げ施設として建設されました。その主な目的は、アメリカ国家偵察局(NRO)をはじめとする米国政府機関や、防衛、安全保障関連のミッションに特化したサービスを提供することにあります。アメリカ東海岸という戦略的な立地を活かし、特定の軌道傾斜角への投入を効率的に行うことができます。
この施設は、迅速な打ち上げ対応能力(レスポンシブ・ローンチ)を重視して設計されており、顧客の要求に応じて短期間での打ち上げ準備を可能にします。射点(Launch Pad)に加え、ロケットの組み立てや整備を行うインテグレーション施設、そして衛星の最終準備を行うペイロード処理施設が一体となって運用されています。
MAP
主要な打ち上げ実績
LC-2は、これまでに数多くの重要なミッションを成功させてきました。以下はその一部です。
打ち上げ日 | ミッション名 | ペイロード | 概要 |
2023年1月24日 | Virginia Is For Launch Lovers | Hawkeye 360 | LC-2からの初となるエレクトロンロケットの打ち上げ。無線周波数(RF)データを分析する小型衛星3基を軌道投入。 |
2023年3月16日 | Stronger Together | Capella Space | Capella Space社の合成開口レーダー(SAR)衛星2基を打ち上げ。 |
2023年6月18日 | NROL-199 | National Reconnaissance Office | アメリカ国家偵察局(NRO)のための国家安全保障ペイロードを軌道に投入。 |
2024年3月21日 | Live and Let Fly (NROL-123) | National Reconnaissance Office | NROの小型研究衛星3基を搭載。米国から打ち上げる初のNROミッション。 |
Google スプレッドシートにエクスポート
これらのミッションは、LC-2がアメリカの宇宙開発戦略において、特に国家安全保障の分野で重要な役割を担っていることを示しています。
今後の展望とNeutronロケット
Rocket Labは、LC-2でのエレクトロンロケットの運用を継続するとともに、ワロップス飛行施設内でのプレゼンスを拡大しています。LC-2に隣接する形で、次世代の中型再利用ロケット「Neutron(ニュートロン)」専用の新しい発射施設「Launch Complex 3 (LC-3)」の建設を進めています。
Neutronは、より大型の衛星コンステレーションの構築や、深宇宙探査ミッションを視野に入れたロケットであり、LC-3の完成はワロップス飛行施設が次世代の宇宙開発においても中心的な役割を果たしていくことを意味します。
エレクトロンによる小型衛星への迅速なアクセスと、将来のニュートロンによる大型ミッションへの対応。この2つの発射施設が連携することで、Rocket Labとワロップス飛行施設は、多様化する宇宙への需要に応えるための重要な拠点として、その価値をさらに高めていくことでしょう。