ケネディ宇宙センター39A発射施設:宇宙への歴史的な玄関口
フロリダ州メリット島に位置するケネディ宇宙センターの39A発射施設(Launch Complex 39A, LC-39A)は、人類の宇宙探査の歴史において最も象徴的な場所の一つです。アポロ計画のサターンVロケットからスペースシャトル、そして現代の商業宇宙飛行をリードするスペースX社のファルコンロケットまで、数々の歴史的なミッションがここから宇宙へと旅立ちました。
基本データ
項目 | 詳細 |
場所 | アメリカ合衆国フロリダ州メリット島 ケネディ宇宙センター |
座標 | 北緯28度36分30秒 西経80度36分16秒 |
運用者 | NASA(1967年~2011年)、スペースX(2014年~現在) |
状態 | 運用中 |
主要な打ち上げ機体 | サターンV、スペースシャトル、ファルコン9、ファルコン・ヘビー |
輝かしい歴史
LC-39Aの歴史は、アメリカがソビエト連邦との宇宙開発競争の真っただ中にいた1960年代に遡ります。当初は、人類を月面に送り込むという壮大なアポロ計画のために建設されました。
アポロ時代(1967年~1972年)
LC-39Aの最初の打ち上げは、1967年11月9日のアポロ4号で、これは巨大なサターンVロケットの無人飛行試験でした。そして、歴史上最も有名なミッションであるアポロ11号も、1969年7月16日にこの場所から打ち上げられ、人類初の月面着陸という偉業を成し遂げました。アポロ計画では、スカイラブ計画の打ち上げも含め、数多くのサターンVがここから轟音とともに宇宙へ向かいました。
スペースシャトル時代(1981年~2011年)
アポロ計画の終了後、LC-39Aはスペースシャトル計画のために改修されました。1981年4月12日、スペースシャトル初号機コロンビア号(STS-1)がLC-39Aから打ち上げられ、再利用可能な宇宙船の時代の幕開けを告げました。以降、チャレンジャー号、ディスカバリー号、アトランティス号、エンデバー号を含む全82回のスペースシャトルミッションがここから打ち上げられ、ハッブル宇宙望遠鏡の修理や国際宇宙ステーション(ISS)の建設など、数多くの重要な任務を遂行しました。

NASA 見学ツアーの見晴台から見たLaunch Pad39A
スペースXの時代と未来
2011年のスペースシャトル計画の引退後、LC-39Aは新たな時代を迎えます。2014年、NASAは民間宇宙企業のスペースX社にこの歴史的な発射施設を20年間リースする契約を結びました。
ファルコンロケットの拠点
スペースXはLC-39Aを自社のファルコン9およびファルコン・ヘビーロケットの打ち上げに対応させるため、大規模な改修を行いました。2017年2月19日、改修後初の打ち上げとなるファルコン9ロケットによるISSへの物資補給ミッション(CRS-10)が成功。以降、商業衛星の打ち上げや、アメリカの地から再び有人宇宙飛行を可能にしたクルードラゴンのミッションなど、現代の宇宙開発の最前線として活躍しています。
スターシップへの展望
現在、スペースXはLC-39Aをさらに進化させ、次世代の超大型ロケット「スターシップ」の打ち上げ拠点とするための準備を進めています。スターシップは、人類の火星移住という壮大な目標を掲げており、実現すればLC-39Aは再び人類の活動領域を拡大する新たな歴史の舞台となります。