酒泉衛星発射センター 第95A発射施設 (Launch Area 95A)
概要
第95A発射施設 (Launch Area 95A)は、中華人民共和国のゴビ砂漠に位置する酒泉衛星発射センター (Jiuquan Satellite Launch Center – JSLC) 内にある、中国で最も象徴的なロケット発射台の一つです。
この施設は、特に中国の有人宇宙飛行プログラム「神舟 (Shenzhou)」ミッションのために建設されました。「プロジェクト921」としても知られるこの有人宇宙計画の中核を担う施設であり、これまでにすべての中国人宇宙飛行士(タイコノート)がここから宇宙へと旅立っています。
第95A発射施設は、有人飛行用の「長征2号F (Long March 2F)」ロケット専用に設計されています。施設は、垂直組立棟(VAB)から発射台までロケットを移動させるための軌道と、ロケットを悪天候から保護し、打ち上げ前の最終準備を行うための巨大な移動式整備塔(サービスタワー)を備えているのが特徴です。
基本データ
| 項目 | 詳細 |
| 正式名称 | 第95A発射施設 (Launch Area 95A) |
| 所属 | 酒泉衛星発射センター (Jiuquan Satellite Launch Center) |
| 場所 | 中華人民共和国 甘粛省酒泉市 (行政区画。実際の施設は内モンゴル自治区アラシャン盟の砂漠地帯) |
| 座標 | おおよそ 北緯40.960度, 東経100.291度 |
| 主な用途 | 有人宇宙飛行(神舟)、宇宙ステーション(天宮)関連の打ち上げ |
| 対応ロケット | 長征2号F (Long March 2F) |
| 特徴 | 垂直組立・垂直輸送方式、移動式整備塔 |
Google Map(航空写真)
第95A発射施設(神舟ミッション用発射台)周辺の航空写真です。中央に見えるのが発射台と、ロケットを覆うための移動式整備塔です。
歴史
酒泉衛星発射センター自体は1958年に設立された中国で最も古く、最大の宇宙センターですが、第95A発射施設(「南発射場」または「第4地区」の一部)は比較的新しい施設です。
- 1990年代後半: 中国が有人宇宙飛行「プロジェクト921」を本格化させたことに伴い、有人ロケット「長征2号F」専用の発射施設として建設が開始されました。
- 1999年11月: 最初の打ち上げミッションである「神舟1号」(無人試験機)が、この発射台から打ち上げられました。
- 2003年10月15日: 中国初の有人宇宙飛行ミッション「神舟5号」がここから打ち上げられ、楊利偉(よう りい)氏が中国初の宇宙飛行士となりました。
- 以降: 神舟ミシンのすべて、および宇宙ステーション「天宮1号」「天宮2号」の打ち上げ拠点として一貫して使用されています。
第95A発射施設は、ソユーズが使用するカザフスタンのバイコヌール宇宙基地1番射点(ガガーリン・スタート)や、アポロ計画で使用されたケネディ宇宙センター第39A発射台と並び、有人宇宙飛行の歴史において極めて重要な場所となっています。