酒泉衛星発射センター 射場4号 (SLS-1 / 921工位)
概要
酒泉衛星発射センター (Jiuquan Satellite Launch Center: JSLC) の射場4号 (Launch Area 4: LA-4)は、「南発射場 (South Launch Site: SLS)」または「LC-43」とも呼ばれる、同センターで現在稼働している主要なロケット発射施設群です。
この射場4号は2つの発射パッドで構成されていますが、そのうち SLS-1 (921工位 / LC-43/91) は、中国の有人宇宙飛行計画「神舟 (Shenzhou)」プログラムのために特別に建設された、中国で最も象徴的な発射パッドです。
SLS-1は、有人宇宙船「神舟」と宇宙ステーション補給機「天宮」を打ち上げるために設計された「長征2F号 (Long March 2F)」ロケット専用の発射台です。施設は、ロケットを垂直に組み立て、試験し、射点まで垂直のまま移動させる「垂直組立・垂直試験・垂直輸送 (VTT)」方式を採用しており、発射直前までの機体の健全性を維持します。
2003年の中国初の有人宇宙飛行ミッション「神舟5号」をはじめ、現在に至るまで全ての「神舟」有人ミッションがこのSLS-1から宇宙へと旅立っています。
基本データ
| 項目 | 詳細 |
| 正式名称 | 射場4号 SLS-1 (921工位 / LC-43/91) |
| 所属 | 酒泉衛星発射センター (JSLC) |
| 場所 | 中華人民共和国 内モンゴル自治区アルシャー盟エジン旗 (ゴビ砂漠内) |
| 座標 | 緯度: 40.9582° N / 経度: 100.2913° E |
| 運用機関 | 中国国家航天局 (CNSA) / 中国航天科技集団 (CASC) |
| 主要ロケット | 長征2F号 (Long March 2F) |
| 主要ミッション | 神舟計画 (有人宇宙船)、天宮計画 (宇宙ステーションモジュール) |
| 状態 | 現役 (Active) |
地図 (Google Map 航空写真)
以下は、射場4号 (SLS-1 / 921工位) の位置を示す航空写真です。写真中央の大きな発射塔がSLS-1です。その少し南東(右下)にあるのが、他の衛星打ち上げに使用されるSLS-2パッドです。
歴史
酒泉衛星発射センター自体は1958年に設立された中国最古の宇宙基地ですが、有人宇宙飛行計画(「921計画」と呼ばれた)の進展に伴い、より大型で近代的な発射施設が必要となりました。
- 1990年代: 中国の有人宇宙飛行計画「921計画」の拠点として、射場4号 (LA-4) が建設されました。SLS-1は、この計画の中核となる射点として「921工位」のコードネームが与えられました。
- 1999年11月19日: SLS-1からの最初の打ち上げが実施されました。長征2F号ロケットが、中国初の無人宇宙船「神舟1号」の打ち上げに成功しました。
- 2003年10月15日: 中国宇宙開発の歴史的転換点となる「神舟5号」が打ち上げられました。宇宙飛行士・楊利偉(よう りい)氏を乗せ、中国初の有人宇宙飛行を達成しました。
- 2011年9月29日: 中国初の宇宙ステーション実験機「天宮1号」が、長征2F号によってSLS-1から打ち上げられました。
- 2011年〜現在: 以降、「神舟」ミッションは定期的にこの射場から打ち上げられています。「神舟12号」(2021年) からは、中国独自の宇宙ステーション「天宮」への宇宙飛行士輸送ミッションの拠点として、継続的に運用されています。