アルテミス2号、飛行5日目のミッション:月面フライバイに向けた最終準備
10日間にわたるアルテミス2号の旅程において、折り返し地点となる飛行5日目(Flight Day 5)は、月への最接近を翌日に控えた極めて重要な準備日となりました。

NASAの公式ブログ(2026年4月5日付)によると、4名のクルー(リード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、ジェレミー・ハンセン)はこの日、軌道修正や観測機器の最終チェックに加え、非常に重要なテストを実施しました。それが「宇宙服(OCSS)の着用デモンストレーション」です。
命を守る「OCSS(オリオン乗員サバイバルシステム)」とは?
クルーがテストしたのは、船外活動用(月面を歩くための分厚い服)ではなく、「オリオン乗員サバイバルシステム(Orion Crew Survival System: OCSS)」と呼ばれる、打ち上げ時や地球帰還時に着用するオレンジ色の宇宙服です。
- 気密性のチェック: 宇宙空間で万が一、船内の空気が失われる(減圧)事態が発生しても、この服さえ着ていれば最大6日間生存できるように設計されています。
- 可動性と居住性の確認: クルーは実際に服を着用し、座席への乗り降りがスムーズに行えるか、服を着た状態での飲食や移動が可能かを実戦形式で確認しました。
月面フライバイという、地球から最も遠く、通信環境も不安定になる領域へ突入する前に、命綱であるサバイバルシステムを完璧にチェックしておくことは、ミッションの安全性を担保する上で不可欠なプロセスなのです。
ついに歴史的瞬間へ!飛行6日目の「月面フライバイ」見どころ
そして飛行6日目(米東部夏時間4月6日)、オリオン宇宙船は地球の重力圏を抜け、ついに「月の重力圏(Sphere of Influence)」へと突入しました。
今回のミッションの最大の山場である月面フライバイ(月への接近通過)では、月の裏側を回るだけでなく、科学史に残る複数のハイライトが予定されています。SPACEDOOR編集部でNASAのスケジュールを日本時間(JST)に換算し、一覧表にまとめました。
🌕 月面フライバイ 完全タイムライン(日本時間)
| 日本時間 (4/6〜4/7) | 米東部夏時間 (4/6) | ミッションのハイライト |
| 4/6 13:41 | 0:41 AM | オリオン宇宙船が月の重力圏に突入 |
| 4/7 02:56 | 1:56 PM | アポロ13号の記録(人類の最遠達距離)を更新! |
| 4/7 03:45 | 2:45 PM | 月面観測を開始(窓を月面に向けて科学データを収集) |
| 4/7 07:44 | 6:44 PM | 月の裏側に入るため、地球との通信が一時途絶 |
| 4/7 07:45 | 6:45 PM | 「地球の入り (Earthset)」:月越しに地球が沈む現象 |
| 4/7 08:02 | 7:02 PM | 月面への最接近(高度約6,550 km / 4,070マイル) |
| 4/7 08:25 | 7:25 PM | 「地球の出 (Earthrise)」:月の裏側から地球が昇る現象 |
| 4/7 09:35 | 8:35 PM | 宇宙空間からの**「日食」を観測**(太陽が月の裏に隠れる) |
※NASAの深宇宙通信網(DSN)を通じて、これらのデータは順次地球へ送られます。

見どころ①:アポロ13号の記録を56年ぶりに更新
フライバイの直前、アルテミス2号は1970年にアポロ13号が樹立した「人類が地球から最も遠く離れた距離」の記録を塗り替えます。これは、人類の活動領域が本格的に深宇宙へと拡張されたことを示す象徴的な瞬間です。
見どころ②:宇宙から見る「地球の出」と「日食」
最接近高度は約6,550km。アポロ計画(高度約110km)よりは遠い軌道を通りますが、だからこそ見える絶景があります。地球が月の地平線から昇る「アースライズ」に加え、太陽・月・オリオン宇宙船が一直線に並ぶことで、「宇宙空間から見る約1時間の日食」をクルーは目撃することになります。
人類の深宇宙挑戦の第一歩
いかがでしたでしょうか。アルテミス2号の現在地と、これから起こる歴史的瞬間の重要性がお分かりいただけたかと思います。本記事の要点は以下の通りです。
- 飛行5日目: 緊急時に命を守るオレンジ色の宇宙服(OCSS)の最終実証テストを完了。
- 飛行6日目(フライバイ): アポロ13号の最遠記録を更新し、月面へ約6,550kmまで接近。
- 注目の絶景: 月越しに沈み、そして昇る地球(アースライズ)と、宇宙空間での日食観測。
アルテミス2号は、このフライバイを終えた後、地球の重力を利用して帰路につき、4月10日(日本時間11日)に太平洋へスプラッシュダウン(着水)する予定です。
宇宙メディア SPACEDOOR では、アルテミス2号が無事に地球へ帰還するその瞬間まで、最新のミッション状況を解説していきます。
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