文昌スペースローンチサイト 商用LC-1
文昌スペースローンチサイトの商用LC-1(Commercial Launch Complex 1)は、中華人民共和国海南省文昌市に位置する、中国初の商業用宇宙船発射場の一部です。低緯度という地理的利点を活かし、より重いペイロードの打ち上げを可能にすることで、中国の宇宙開発における商業利用の拡大を担う重要な施設です。
概要
商用LC-1は、文昌スペースローンチサイト内に新設された海南商業航天発射場に属する2つの発射台のうちの1つです。主に中型ロケット「長征8号」の打ち上げに特化して設計されています。この発射台は、モジュール式の鉄骨構造を採用し、高さ83メートルを誇ります。革新的な技術として、冷却・騒音低減のための双方向火炎偏向装置を導入しており、これにより打ち上げ後の迅速な再利用が可能となり、高頻度の商業打ち上げに対応します。
基本データ
項目 | 詳細 |
名称 | Commercial Launch Complex 1 (商用LC-1) |
場所 | 中華人民共和国 海南省 文昌市 |
所属 | 海南商業航天発射場 |
運用者 | 海南国際商業航天発射有限公司 (Hainan International Commercial Aerospace Launch Co., Ltd. – HICAL) |
状態 | 運用中 |
主に対応するロケット | 長征8号 (Long March 8) |
初打ち上げ | 2025年3月12日(長征8号 Y6) |
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文昌スペースローンチサイトのおおよその位置を以下に示します。商用LC-1は、この広大な敷地内に新設された施設です。
歴史
海南島に宇宙船発射場を建設する構想は1970年代から存在していましたが、当時は冷戦下であり、国際情勢から実現には至りませんでした。冷戦終結後、計画は再び動き出し、2007年に国務院と中央軍事委員会によって正式に承認されました。
文昌スペースローンチサイトの建設:
- 2009年9月14日: 文昌スペースローンチサイトの建設が正式に開始。
- 2014年10月: 主要な建設が完了。
- 2016年6月25日: 長征7号ロケットの打ち上げにより、正式に運用を開始。
海南商業航天発射場の設立: 増大する商業打ち上げの需要に応えるため、既存の国家主導の施設とは別に、商業専用の発射場が計画されました。
- 2022年7月6日: 海南商業航天発射場の建設が開始。このプロジェクトは、海南省政府と中国の主要な国有宇宙企業3社(中国航天科技集団、中国航天科工集団、中国衛星網絡集団)の共同出資によるHICALによって運営されます。
- 2023年12月29日: 商用LC-1(1号工位)の主要構造が完成。
- 2024年11月30日: 商用LC-2から長征12号が打ち上げられ、海南商業航天発射場からの初の打ち上げに成功。
- 2025年3月12日: 商用LC-1から長征8号が打ち上げられ、同発射台の運用が開始されました。