サティシュ・ダワン宇宙センター 第1発射台:インド宇宙開発の礎
サティシュ・ダワン宇宙センター(SDSC)の第1発射台(First Launch Pad – FLP)は、インドの宇宙開発における輝かしい歴史を刻んできた発射施設です。インド宇宙研究機関(ISRO)によって運用され、同国の主力ロケットであるPSLVや、かつてはGSLVの打ち上げにも使用されてきました。
概要
インド南東部、アンドラ・プラデーシュ州シュリーハリコータ島に位置するサティシュ・ダワン宇宙センター内に建設された第1発射台は、インドの衛星打ち上げ能力を飛躍的に向上させました。1993年の運用開始以来、数多くの人工衛星を宇宙へと送り出し、インドの宇宙技術の発展と国際的な宇宙コミュニティにおける地位向上に大きく貢献しています。
この発射台は、ロケットの組み立てから打ち上げまでを一貫して行う「インテグレート・オン・パッド」方式を採用しており、巨大な移動式整備塔(Mobile Service Tower – MST)が特徴です。
基本データ
項目 | 詳細 |
名称 | 第1発射台 (First Launch Pad – FLP) |
場所 | インド、アンドラ・プラデーシュ州、サティシュ・ダワン宇宙センター |
運用機関 | インド宇宙研究機関 (ISRO) |
運用開始 | 1993年9月20日 |
座標 | 北緯13.7333度, 東経80.2347度 |
主要打ち上げロケット | PSLV (Polar Satellite Launch Vehicle), GSLV Mk I (Geosynchronous Satellite Launch Vehicle), SSLV (Small Satellite Launch Vehicle) |
移動式整備塔 (MST) の仕様 | 高さ: 76.5メートル、総重量: 3200トン |
ステータス | 運用中 |
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歴史
サティシュ・ダワン宇宙センター自体の歴史は1971年に始まりますが、第1発射台の建設は、インドがより大型の極軌道衛星打ち上げロケット(PSLV)の開発を進める中で計画されました。
- 1990年代初頭: PSLVロケットの打ち上げに対応するため、第1発射台の建設が開始される。
- 1993年9月20日: 第1発射台からの最初の打ち上げとして、PSLV-D1がIRS-1E衛星を搭載して打ち上げられた。このミッションは完全な成功には至らなかったものの、インドのロケット技術における重要な一歩となりました。
- 1994年10月15日: PSLV-D2の打ち上げに成功。これにより、インドは自国のロケットで人工衛星を軌道に投入する能力を持つ国の仲間入りを果たしました。
- 2001年4月18日: GSLV-D1の打ち上げが行われ、静止衛星打ち上げ能力の獲得に向けた道筋をつけました。
- 2008年10月22日: インド初の月探査機「チャンドラヤーン1号」が、この発射台からPSLV-C11によって打ち上げられました。
- 2013年11月5日: インド初の火星探査機「マンガルヤーン」も、PSLV-C25によってここから打ち上げられ、アジアで初めて火星周回軌道への投入に成功しました。
- 2022年8月7日: 新型の小型衛星打ち上げロケットSSLVの初打ち上げが実施されました。
その後も、国の実用衛星や科学探査機、さらには多数の商業衛星の打ち上げ拠点として、第1発射台はインドの宇宙開発計画において中心的な役割を担い続けています。
関連ウェブサイト
- インド宇宙研究機関 (ISRO): https://www.isro.gov.in/
- サティシュ・ダワン宇宙センター (SDSC SHAR): https://www.shar.gov.in/