サクサヴォード宇宙港:フレド発射台
概要
SaxaVord Spaceport(サクサヴォード宇宙港)は、スコットランドのシェトランド諸島ウンスト島にある英国初の認可を受けた垂直型ロケットローンチ施設です。その中でも「Launch Pad Fredo」は、ドイツの航空宇宙企業であるRocket Factory Augsburg(RFA)社が独占的に使用するために建設された発射台です。英国およびヨーロッパ本土からの小型衛星の軌道投入を目指す上で、戦略的に重要な拠点となっています。
この発射台は、ポーラー軌道や太陽同期軌道へのアクセスに優れており、地球観測や通信といった商業的に需要の高いコンステレーションの構築に最適な立地です。Launch Pad Fredoは、RFA社の「RFA ONE」ロケットの打ち上げと試験の拠点として機能し、ヨーロッパの宇宙へのアクセス能力を向上させることが期待されています。
基本データ
項目 | 詳細 |
名称 | Launch Pad Fredo |
場所 | SaxaVord Spaceport, Lamba Ness, Unst, Shetland, Scotland, UK |
座標 | 60.8184° N, 0.7692° W |
運用会社 | SaxaVord Spaceport |
主な使用企業 | Rocket Factory Augsburg (RFA) |
主な打ち上げロケット | RFA ONE |
目的 | 小型衛星の低軌道(LEO)、特に極軌道および太陽同期軌道(SSO)への投入 |
設備 | ・ステンレス鋼製の打ち上げ台 ・燃料(ケロシン)、液体酸素(LOX)、窒素、ヘリウムなどの貯蔵施設(フューエルファーム) ・ロケットを安定させるためのアンビリカルタワーとクランプ ・排気炎をそらすためのフレームディフレクター ・大規模な水噴射による音響抑制システム ・雷保護システム |
Google Map
歴史
SaxaVord Spaceportのあるウンスト島のランバ・ネス半島は、冷戦時代には英国空軍(RAF)のレーダー基地「RAF Saxa Vord」として、英国の防空の最前線を担っていました。この基地は、ソビエト連邦の航空機や船舶を監視する上で重要な役割を果たしていましたが、冷戦終結後にその役目を終え、閉鎖されました。
2017年、英国宇宙庁の報告書でウンスト島が衛星打ち上げに最適な場所の一つとして特定されたことを受け、民間企業による宇宙港建設計画が浮上しました。Shetland Space Centreとして始まったこのプロジェクトは、後にSaxaVord Spaceportへと改名され、かつてのRAF基地のインフラを活用しつつ、新たな発射台の建設が進められました。
2023年1月には、Rocket Factory Augsburg(RFA)社がSaxaVord Spaceportとの間で、発射台の独占使用を含む複数年にわたる契約を締結したことを発表。この発射台は「Launch Pad Fredo」と名付けられ、RFA社の「RFA ONE」ロケットの打ち上げに向けた準備が進められています。2023年12月には、SaxaVord Spaceportが英国民間航空局(CAA)から宇宙港としてのライセンスを取得し、西ヨーロッパで初めて完全に認可された垂直型宇宙港となりました。
関連ウェブサイト
- SaxaVord Spaceport: https://saxavord.com/
- Rocket Factory Augsburg (RFA): https://www.rfa.space/
- UK Civil Aviation Authority – Space: https://www.caa.co.uk/space/