バイコヌール宇宙基地 81番射点 / 24番発射台 (81P)
Baikonur Cosmodrome, Site 81/24 (81P)
概要
バイコヌール宇宙基地(Baikonur Cosmodrome)は、カザフスタン共和国中部の砂漠地帯に位置する、世界で最初かつ最大の宇宙ロケット発射場です。1955年にソビエト連邦によって設立されて以来、宇宙開発の歴史において中心的な役割を果たしてきました。世界初の人工衛星「スプートニク1号」や、ユーリ・ガガーリンによる世界初の有人宇宙飛行「ボストーク1号」が打ち上げられた場所としても世界的に有名です(注:これらは主に1番射点「ガガーリン発射台」から打ち上げられました)。
ソ連崩壊後はカザフスタンの所有となりましたが、現在はロシア連邦がカザフスタン政府とのリース契約に基づき、ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)の管轄下で運用を続けています。
81番射点 / 24番発射台 (81P)
このページで紹介する 81番射点 / 24番発射台(通称: 81P)は、バイコヌール宇宙基地内に数ある発射施設の一つであり、大型ロケット**「プロトン(Proton)」**専用の発射コンプレックスです。
81番射点(Site 81)は、もともと2つの発射台、81/23(左側、81L)と81/24(右側、81P)で構成されていました。しかし、2013年に81/23でプロトンMロケットが打ち上げ直後に墜落する事故が発生し、同発射台は甚大な被害を受けて運用を停止しました。
そのため、現在運用されているプロトンロケットの発射台は、この 81/24 (81P) のみとなっています。プロトンロケットは、大型の商業衛星やロシア政府の軍事衛星、GLONASS(測位衛星)、および国際宇宙ステーション(ISS)のモジュール(「ザーリャ」や「ズヴェズダ」など)の打ち上げに使用されてきた、ロシアの主力大型ロケットです。
基本データ
| 項目 | 詳細 |
| 施設名称 | バイコヌール宇宙基地 (Baikonur Cosmodrome) |
| 射点番号 | 81番射点 / 24番発射台 (Site 81/24, 81P) |
| 所在地 | カザフスタン共和国 クズロルダ州 |
| 運用組織 | ロシア連邦宇宙局 (ロスコスモス / Roscosmos) |
| 座標 | 北緯46.071度, 東経62.986度 (約) |
| 主な用途 | 大型ロケット「プロトンM」の打ち上げ |
| 運用状況 | 運用中 (81番射点では唯一の現役発射台) |
Google Map (航空写真)
81番射点/24番発射台(81P)の位置。射点(右側)と、ロケットの水平組立・整備を行う「MIK」と呼ばれる巨大な組立棟が鉄道線路で結ばれているのが特徴です。
歴史
バイコヌール宇宙基地の歴史
- 1955年6月2日: ソビエト連邦が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「R-7」の実験場「NIIP-5」として設立。
- 1957年10月4日: 世界初の人工衛星「スプートニク1号」打ち上げ成功(1番射点より)。
- 1961年4月12日: ユーリ・ガガーリン搭乗の「ボストーク1号」打ち上げ成功(1番射点より)。
- 1991年: ソ連崩壊に伴い、カザフスタンの所有となる。
- 1994年: ロシアがカザフスタンとリース契約を締結し、運用を継続。
81番射点の歴史
- 1960年代: ソ連の大型ロケット「UR-500」(後のプロトン)のために81番射点の建設が開始される。
- 1965年7月16日: 81/23(左側発射台)からプロトンロケットの初打ち上げ。
- 1968年: 81/24(右側発射台)が完成し、運用開始。
- 1970年代〜2000年代: 81番射点は、ソ連・ロシアの宇宙ステーション計画(サリュート、ミール)のモジュール打ち上げや、数多くの商業衛星、政府衛星の打ち上げを担う。
- 2013年7月2日: 81/23発射台で「プロトンM」が打ち上げ直後に制御を失い墜落。発射台が深刻な損傷を受け、運用を終了。
- 2013年以降: 81/24 (81P) が、プロトンロケット唯一の発射台として運用を継続している。